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「2019年度を振り返って」(ポケットサポート代表理事 三好祐也)

コラム

2019年度は2025年ビジョン「病気を抱える子どもが、将来に希望を持ち自分らしく暮らせる社会をつくる」を策定し、大きく3つのミッションの下に事業を進めてきました。今回は2019年度を総括する意味でブログにまとめましたので、長文になりますが最後までご覧いただければ嬉しいです。

2025ビジョン

【Mission(ポケットサポートが社会で果たすべき使命)】

  • 環境をつくる
  • 生きる力を育む
  • 人や気持ちを繋ぐ

環境をつくる

1つ目のミッション「環境をつくる」では、病気を抱えていても子どもらしい時間が過ごせるように学習や復学自立支援を行っています。

2019年度も岡山市小児慢性特定疾病児童等相互交流支援事業を中心に、病院の中で頑張っている子どもたちや、地域で療養しながら生活している子どもたち、きょうだい、家族との関わりを進めてきました。

支援拠点や病院の中でも交流はもとより、自宅療養中の子どもたちへの支援や、双方向WEB学習支援など、さまざまなシーンで子どもたちと関わってきました。

季節ごとに行われる交流イベントでは、参加者が、安心・安全な環境の中、笑顔あふれる「子どもらしい時間」を過ごす姿が見られました。

そこで出会った子どもたちが交流を深め、友人関係を築いていく様子も感じられました。

また、小学生の頃から関わってきた子たち3人が受験を迎えた年でした。

学校の卒業を祝して、お祝いのメッセージを寄せ書きした色紙などを送り、スタッフみんなで治療を乗り越えながら前へ進んでいく彼らの頑張りを認め、学習はもちろん気持ちの面でも支えてきました。

その全員がこの春から志望していた学校への進学や、就職などをすることになりました。子どもたちや家族と長く関わっていけるNPO法人だからこそ、その成長していく姿が見られることはスタッフみんなの喜びに繋がっています。

生きる力を育む

2つ目のミッションである「生きる力を育む」では、病気による困難を抱えていても前向きに生きていけるよう当事者や専門家と共に取り組んでいく中で、とても印象的な出来事がありました。

小児病棟へ同じ時期に入院をしていたけれど子ども同士の関わりがなかった2人の子どもがいました。

最初はふさぎこんでいたAくんが少しずつポケットサポートの交流を通して治療にも前向きになり学習を始める、そんな姿を医療者や家族に感じてもらうことができました。

そうしていく中でもう一人のBさんが、またAくんたちの姿を見て一緒に交流を重ねていったことで、自分の病気と向き合いながら病院の中でも「本来の自分らしい姿」を見せてくれるようになったシーンがありました。

自分だけがしんどい思いをしているんじゃない「ひとりじゃない」と思える瞬間、同じように闘病している仲間や支える支援者がいてこそ生まれる関係性でした。

こういった一人ひとりの出会いが病気の子どもたちの「生きる力」を育んでいきます。

その子どもたちの姿に励まされ、私たちも日々の支援をより一層頑張ろうと思えます。

人や気持ちを繋ぐ

3つ目のミッション「人や気持ちを繋ぐ」、病気の子どもに関わる人たちを繋ぐコーディネートを行うと共に、社会への理解啓発を行い理解者・支援者を増やしていく取り組みでは、支援者育成にも力を入れ、大学生の学習支援ボランティアの育成やフォローアップを行うことができました。

様々な有識者の先生方の協力もあり、現職の医療者や学校関係者とも研鑽を積む機会を設定することもできました。夏には京都のアパレルメーカーJAMMINとのコラボレーションによって、さまざまな支援者の方々にファッションを通じてポケットサポートが解決を目指す社会の課題を知っていただくことができました。

その他、講演などの依頼も増え、さらに私たちの取り組みを雑誌やメディアに取り上げていただくこともあり、活動の広がりや思いを伝える場が増えてきたと感じています。

オンライン教育支援の広がり

2020年初頭に起こった、新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症が全世界に猛威を振るっています。まだまだ予断を許さない状況で、収束の目処も立っていません。

慢性疾患などの病気を抱える子どもたちは、感染症に罹ることで持病が重篤化することや他の疾患を引き起こす原因となることがあります。

スタッフの中にも疾患を抱える者も多く、2月25日以降、子どもたちと直接交流する支援を一部休止せざるを得ませんでした。

そのような状況の中で、設立来培ってきた双方向のWEB学習支援やインターネットの動画配信によるイベントの中継など、私たちだからこそできる新たな支援の模索を行う結果となりました。

今まで院内学級の設置が困難だった、高校生年代の入院している子どもたちへの遠隔授業の補助も2019年度から、岡山県教育庁特別支援教育課の専門家チームとして行ってきました。

奇しくも、遠隔授業やオンライン学習がこのような形で容認が進むことで今後の病弱教育にも大きな影響がでてくると感じています。

また、支援活動の中で大切な感染症対策においても、国民の多くに周知徹底されることとなりました。

今後、季節性の感染症が流行る時期にも同じように感染症対策が共通認識とされることで、病気を抱える子どもたちが安心して過ごせる地域や社会に一歩近づくことになるとも考えられます。

2020年度に向けて

このように、病気を抱える子どもたちやその家族が以前から抱えていた課題そのものが現代社会に降りかかってくることとなりました。

様々な社会の課題において、自分は関係ないと「他人事」と感じる状況では進まないことも、「自分事」と捉えることで課題解決に向かうスピードが促進されます。

現時点ではまだ今後の展開に予断を許さない状況ではありますが、課題というピンチを、解決というチャンスに変えられると信じながら、できる事業を着実に進めていきたいと思います。

これからもポケットサポートは2025年ビジョンを達成するために、さまざまな機関と連携しながら事業を進めて参ります。

目の前にいる仲間たちや、関わってくれる全ての人たちの命、生活を大切にしながら支援活動に邁進していきます。

この1年も変わらず、病気による困難を抱える子どもたちを支える支援団体として、認定NPO法人ポケットサポートの応援をお願いいたします。

認定特定非営利活動法人ポケットサポート
代表理事 三好 祐也

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