8/3「小児がんのこどもの教育を考える」で特別講演を行いました

コラム

2019年8月3日に九州大学医学部で「小児がんのこどもの教育を考える」講演会が開催され、親の会からの声、教育委員会の先生の報告や、医療現場からの現状の報告などが行われました。
その中の特別講演として、ポケットサポート代表の三好祐也が登壇しました。
開催場所の百年講堂は、6年前の日本育療学会に初めて参加し、病弱教育支援や研究者の仲間と多く出会った思い出の場所でした。

【8/3】九州大学病院「小児がんのこどもの教育を考える」に三好代表が登壇します
九州大学病院「小児がんのこどもの教育を考える」に三好代表が登壇します

親の会の声から発展した福岡県での取り組み

親の会「すまいる」代表の内藤さんからの発表では、院内学級のない高校生への学習支援の課題から、今まで声をあげていった件についてお話がなされました。(内藤さんは当日ポケサポ×JAMMINのTシャツを着て登壇してくださいました!)

続いて、福岡県教育庁の先生から、高校生の教育支援について県立高校での取り組みの発表があり最後には国会議員の先生が、2年間の取り組みを発表されていました。

最後には国会議員の先生が、2年間の取り組みを発表されました。

福岡は県の独自の予算で2年前から行っていました。それが国として始まったことが素晴らしい。ICTの利用も良いが、先生の生身の人が来てくれるそれに勝るものはないと思っています。

実際に先生に来てもらえる予算を作っていきたい。 それぞれの県の議会の中でも予算付けをしていってほしいと思っています。 福岡市は治療によって免疫不全となった子どもの予防接種を、公費負担にするようにしました。 大人が子どものために制度を合わせていくことが必要です 。

その中で、他県などの事例にも触れられ、病気の子どもたちの高校教育の段階が遅れているということが、国会でも話題として出ているとおっしゃっていました。

現状報告と高校生の声から見える「当事者の思い」

九州大学病院小児がん相談員で、子ども療養支援士の池田先生からは病院内の現状と、実施されている取り組みの発表がありました。九州大学病院は小児がん拠点病院ということもあり、入院した高校生たちの居住地も県内外にわたります。

そのため、高校生の学校区分も公立から私立まで様々。進級の度合いも進級や卒業ができた子もいれば、休学や留年を余儀なくされたケースや、転校した子もいるようです。

高校生たちの声や思いの紹介
「場所だけあっても、何を勉強してよいかわからない」
「高校生にも院内学級があるといい。学校があると気分転換になるし、人との交流ができる」
「4月時点で入院していたので、途中から復学になるんだったら、休学の選択肢でよかった。」

もっとも響いたのは「することがないのに、どうして朝起きなければならないのか」という声。
ポケットサポートに関わる子どもたちからも「何もすることがないことが、一番辛い」といったことがよく聞かれます。

彼らは入院をして治療を行っているだけであり、今を一生懸命生きている一人の子どもです。
成長発達著しい時期に「学ぶ」「遊ぶ」などの生きていくために必要な権利を奪ってはいけないと強く感じました。

講演とシンポジウムから共感が生まれていく

特別講演では、入院することになり「日常」から切り離されることでの孤独感、院内学級に通い「ひとりじゃない」と思える力が治療にも前向きになれること、病気の自分以外の本来の自分を見てくれる人たちの大切さなどをお話させていただきました。

JAMMINさんとのコラボレーションのメッセージにもあった「病院の中でも楽しいことはある」という思いや経験がポケットサポートの活動や思いにつながっていっています。
福岡ではまだ、ポケットサポートのような活動はなく、関係者の方々に空白(ポケット)を埋める活動の重要性を再認識していただきました。

支援活動の内容や子どもたちとのエピソードでは、会場からもうなずく場面がたくさん見られ共感いただいた聴講者の方が賛助会員になってくださる方もいらっしゃいました。

開催後のアンケートから以下のメッセージをいただきました。

ソーシャルワーカー
ソーシャルワーカー

社会とのつながりに、教育、医療、NPO、当事者などがフラットな立場で学び合い、意見交換ができるとても貴重な機会でした。
”生きる、学ぶ、希望を持つ”といったメッセージが印象的でした。

学校教諭
学校教諭

三好先生のお話を聞いて、私たちが足りていないと感じる分野をがんばって行われていることを知りました。福岡でも同じような取り組みができることを強く願います。

第2部のシンポジウムでは、小児がん経験者とその家族、院内学級を担当されている先生と三好から、それぞれの思いが語られ、フロアからの質問に答えました。

院内学級の先生方からの言葉から、いつも子どもたちに寄り添い、学級を運営されているのだと感じ、胸が熱くなりました。

「(院内学級を)病院内の普通の場所にしたい」
「壁を低くすることで来やすくするんです」

当事者の方からは「病気の告知をされたときに絶望した。1週間泣いた。」の言葉に続いて「自分の病気のことを友達にちゃんと伝えようと決心した」と力強く語られた一方で

「最初は自分でどうにか努力したが、治療や時間が経つにつれ難しくなってきた」
「その日にすることがない、目標がないことがつらい」

病気の受容から治療に立ち向かうその気持ちのプロセスの他、日常からの分断によって目標を持てないことが、治療を続けることに大きな困難があるということが語られました。

また、嬉しかったこととして
「帰ったときに自分のクラスに席があったことや、先生が見舞いにきてくれたことが嬉しかった」
「つながってるんだって感じられると頑張れる」という言葉から、つながりの継続が前向きな生きる力になっていくのだと強く共感させていただきました。

フロアからも多くの質問が寄せられました。
最終的なまとめとしては以下の3点となり
「病院と社会や、外をつなぐこと」
「勉強やいろんな生活のことを教えてくれる人がいて欲しい」
「治療も勉強もよりそって一緒に計画を立ててくれる人が欲しい」
中間支援、コーディネーターの必要性、社会との繋がりを継続する事の重要性が示唆されました。

まとめ

小児がんをはじめとする慢性疾患の高校生が入院した際の教育支援には、学校との連携体制の確立や、行政との連携を図ることが大切です。必要時には病院から学校側へ対応について働きかけていくことも重要になります。大学病院など多方面から子どもが入院する医療機関では、居住地や学校区分に関係なく、それぞれのニーズに合わせた支援体制作りを整えていく必要があることを福岡県のみなさんとも共有することができました。

この度、ご参加くださり、議論を深めてくださった皆様、ご招待いただきました九州大学病院の関係者の皆様に心より感謝申し上げます。