最近では療育の現場でも使われるようになってきたアナログゲームですが、病弱児教育の場(主にいわゆる院内学級など)でも、多くの場面で子どもたちや先生方が一緒にプレイするところを見てきました。
そういった場で使用される主な理由としては下記の3つなどがあげられると思います。
- 対人数が少ないこと
- 運動に制限があること
- 異年齢の集団になりやすい
ポケットサポートでもよく、ボードゲーム、カードゲームといった種類のアナログ(知育)ゲームを使用します。支援拠点や病院内の活動の中で、初対面の子どもやまだ関係づくりが浅い子どもたちなどがいます。そういったときに、いきなり自己紹介をして「さあ、勉強しようか」と言っても、子どもたちはすぐに取り掛かることはできません。
初めての人と一緒に何かをするとか、話をするというのは、誰でも難しいことです。特に心や体に傷つきを抱えていたり、不安や初めてのことで緊張している子どもたち。そういった子どもたちとコミュニケーションを取るためにも「ゲーム」というのは有効な手段の一つになります。 1週間に1度の関わりの子どもでも、「あのゲームをしたお姉ちゃん!」「今日は何か持ってきた〜?」と覚えてくれたりします。
使用するゲームは、事前に医療スタッフらと共有した年齢や発達や知的の段階などを参考に所持ゲームから選定を行います。子どもたちとの自己紹介タイムやゲームの紹介のときにも、子どもの反応や言動の状況から判断します。
【ピアジェが定義する4つの発達段階】
ステージ1:感覚運動期(0歳~2歳)
動きや音の単純な刺激に興味を示す時期。まだ言葉や概念は理解できない。
ステージ2:前操作期(2歳~7歳)
ものに名前があることが理解でき、概念を扱えるようになる。言葉や数の世界が広がる。
ステージ3:具体的操作期(7~12歳)
状況を客観的に把握し、合理的な思考ができるようになる。自分と他者の考えが違うことが理解できる。
ステージ4:形式的操作期(12歳以降)
仮説を立てて論理的な検証ができるようになる。相手や場の状況にあわせて臨機応変な対応ができるようになる。
発語が必要なもの(声を出すゲーム)、短期記憶が必要なもの(覚えることがあるゲーム)、手先の微細運動(バランスゲーム)などを取り揃えて、支援者とそのときに集まった子どもたちでゲームをしながら場づくりを進めていきます。
初めての人同士でも、ゲームを間に挟むことで共通の話題が生まれ円滑なコミュニケーションが可能になるわけです。子どもに優位性を持たせたい場合には、ゲームの内容を操作できるものを選んだりすることもあります。
また、先を読む力や、ルールを守ること、状況を把握して乗り切る能力、人に伝える力などもゲームから学ぶこともできるため、「知育」として有効だとも考えます。 ゲームを一段落し、その後、体調をみながら学習をするなど、一連の流れを作っていきます。気持ちの切り替え方も学ばせたり、「この勉強が終わったら、また一緒に遊ぼうね」と、見通しを持たせる作用も生まれます。
「またやりたい」という思いは、子どもにとって強いエネルギーに変わります。
次回以降、具体的なゲームの紹介もしていくのでお楽しみに!
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