学校現場の先生に知っておいてほしい小児がんの基礎知識

コラム

日本では年間に約2,000~2,300人もの子どもたちが小児がんと診断されています。決して少ないとは言えない小児がん患者の数を考えると、学校でも小児がんへの理解や支援が必要になってくるでしょう。

本記事では、学校現場の先生方に向けて、小児がんに関する基礎知識を解説します。小児がんは、子どもたちにとって深刻な課題です。先生たちが小児がんに関する正しい知識と理解を持つことで、適切なフォローができ、小児がん患者やその家族にとって大きな支えとなるでしょう。

本記事を通して、安心できる教育環境とはどんなものかを考えるきっかけになれば幸いです。

小児がんとは

小児がんとは、0歳から15歳未満の子どもがかかるがんです。年間に約2,000~2,500人が小児がんと診断されます。治療成績は向上しているものの、まだ2割は治癒が難しく、日本では小児の主要な死因となっています。

小児がんの病状は多様で個別性が高く、理解と支援が不可欠です。研究や治療法の進展に期待しつつ、患者や家族へのサポートと社会全体の協力が求められています。

小児がんの種類

小児がんの種類を血液のがんと固形のがんに分けてご紹介します。

代表的な血液のがん

代表的な血液のがんは以下の2つです。

  1. 白血病
  2. リンパ腫

それぞれのがんについて解説します。

白血病

白血病は小児がんで最も一般的な血液がんです。骨髄(こつずい)の造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)ががん化し、異常な増殖を引き起こします。白血病の種類には、急性リンパ性白血病(ALL)や急性骨髄性白血病(AML)などがあります。

主な症状は、

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 貧血
  • 感染症

などです。

白血病の診断には、血液検査や画像検査が用いられます。治療を成功させるには、早期発見が重要です。

リンパ腫

リンパ腫は、リンパ球系細胞ががん化する血液のがんです。腫瘤(しゅるう)と呼ばれるこぶのようなものを形成しやすいという特徴があります。リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれ、後者が一般的です。

主な症状は、

  • 発熱
  • 全身倦怠感
  • 腹痛

などがあり、子どもの場合は他の病気と混同されることがあります。非ホジキンリンパ腫の治療法は抗がん剤治療が主流です。ホジキンリンパ腫は、抗がん剤治療と併用して放射線治療が行われます。

代表的な固形のがん

代表的な固形のがんは以下の3つです。

  1. 脳腫瘍
  2. 神経芽腫
  3. 骨肉腫

詳しく説明します。

脳腫瘍

小児がんの中で、白血病に続いて多いのが小児脳腫瘍です。脳にできる腫瘍の病気です。

位置によって、

  • 視覚障害
  • 思考の低下
  • 言語障害
  • ふらつき
  • めまい

など、多様な症状が現れます。学校への適応困難や精神症状も多く、頭蓋内圧亢進症(とうがいないあつこうしん)や水頭症といった症状も考えられます。

診断には、

  • CT
  • MRI
  • 脳血管造影
  • 核医学検査
  • 髄液検査

などが利用されます。治療は、腫瘍の位置により手術・抗がん剤治療・放射線治療を組み合わせて行われることが一般的です。小児脳腫瘍に対する理解と早期の診断が治療成功に欠かせず、患者とその家族へのサポートも重要となります。

神経芽腫(しんけいがしゅ)

神経芽腫は、初期は無症状が多く、進行すると発熱・倦怠感・食欲不振などが現れる小児がんの1つです。腫瘍の位置によって異なる症状が見られます。

診断には、

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 画像診断
  • MIBGシンチグラフィー

FDG-PET検査

などが用いられることが多いです。治療は、リスクに応じて手術・抗がん剤治療・放射線治療が行われ、最新の治療法として抗GD2抗体免疫療法というものがあります。抗GD2抗体免疫療法により、神経芽腫への包括的で最適な治療が行われます。

骨肉腫(こつにくしゅ)

骨肉腫は、子どもの骨に発生するがんです。主に10代の成長期に多く見られ、大腿(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ)に発生します。症状は痛みと腫れがあり、初期には無症状なことも多いです。

診断には、

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 画像検査
  • 骨髄検査

が行われ、確定診断は手術による病理検査で行われます。治療は、以前は抗がん剤治療で腫瘍を縮小し、手術で腫瘍を除去、患肢(かんし)の切断することが一般的でした。

しかし現在は、可能な場合には、患肢温存術を行うことが多いです。ほとんどの場合、放射線治療は必要ありません。

どれくらいの小児がん患者がいるか

小児がん患者は現在、年間2,000人〜2,300人の子どもが診断されています。7,500人に1人の割合となり、想像しているよりも身近な存在なのです。日本の小中学校に置き換えると1校に約0.0743人いることとなります。

上記の事実を踏まえると、小児がんへの学校現場での理解とサポートが重要であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

小児がんに限らず、子どもたちが抱える病気への理解を深め、ともに学び、成長するためには、学校コミュニティ全体での取り組みが求められます。学校全体での取り組みが行われれば、病気を抱える子どもたちが、安心して学校生活を送れるはずです。

参考:学校基本調査(令和5年度)

   小児がんの患者数(がん統計)

小児がんの主な治療方法

小児がんの主な治療方法をご紹介します。

  • 薬物療法
  • 放射線治療
  • 外科治療
  • 緩和ケ

それぞれの治療方法について詳しく説明します。

薬物療法

薬物療法は、小児がん治療において主要な治療法の一つです。細胞障害性抗がん薬や分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)が使用されます。これらの薬は、がん細胞の増殖を抑え、がんを攻撃します。

小児がんでは特に薬物療法が有効です。複数の薬を組み合わせた治療も行われます。手術が必要な場合でも補助的に薬物療法が行われるほど、がん治療の中心的なアプローチです。

放射線治療

放射線治療は、がん部位に高エネルギーの線を照射し、がん細胞を破壊する治療法です。小児がんでは手術前の腫瘍(しゅよう)縮小や手術後の再発予防として、他の治療法と組み合わせて使用されます。

少ない線量でも効果があるため、放射線治療後も患者の状態を管理する必要があります。

外科治療

外科治療は、腫瘍や悪い臓器を取り除く手術です。脳腫瘍・神経芽腫・腎芽腫などの固形がんに対して行われます。がんの種類により専門医が協力して治療を進めます。

緩和ケア

緩和ケアは、がん治療に伴うつらさや副作用を軽減し、患者および家族の生活の質を向上させるケアです。がん診断から終末期に至るまで、症状管理や心のサポートが行われます。

小児がん患者とその家族に対する緩和ケアは、終末期に限らず、治療の一環として重要です。

まとめ

学校現場の先生方に向けた小児がんの基礎知識をまとめました。小児がんは、0歳から15歳未満の子どもがかかるがんの総称であり、多くの種類があります。また、小児がんは、子ども特有の希少ながんが多いのが特徴です。

年間約2,000~2,300人の子どもたちが小児がんと診断されます。主な治療方法は薬物療法・放射線治療・外科治療・緩和ケアなどで、治癒率は向上していますが長期間にわたる入院治療が必要な場合もあり、まだ完治が困難な病気も多いです。

治療方針については、子どもたち本人の説明や意向も踏まえて、医師・家族と話し合いながら進めていくことが望ましい形です。

そのため、小児がん患者とその家族への理解とサポートがますます求められています。特に子どもと関わる機会が多い学校の理解とサポートは重要です。これを機会に、小児がんの知識を深めみてはいかがでしょうか?

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