学校のICT化が加速すると入院中の子どもの学習環境も変わる?

病気を抱える子どもたちの学ぶ環境を考える コラム

本日(2019年12月5日)のニュースで、全国の小中学校のすべての児童・生徒が1人1台パソコンやタブレット端末を使える環境を2023年度までに整備する方針が発表されました。

ポケットサポートでも自宅治療中や復学途中の子どもたちとテレビ電話でつないで学習する「双方向WEB学習支援」を、ベネッセこども基金様より助成金を頂いて実施してきました。今回のニュースは、全国でも少しずつ遠隔授業などの取り組みが始まっており、入院中や自宅治療中の子どもたちにとっても嬉しいニュースなのではないでしょうか。

ページ最後にコメント欄を追加しておりますので、ぜみ皆さんのご意見をお聞かせください。

SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
SankeiBiz(サンケイビズ)は産経新聞グループの経済情報サイトです。「仕事・キャリア」「自分磨き」を主なテーマに、ニュースはもちろん、気鋭の経営者や識者が執筆する連載・コラムなどビジネスパーソンの知的好奇心を満たすコンテンツをご覧くだ...

学校ICTで変わりつつある授業内容

プログラミングの授業が小学校で開始されるなど、学校現場での学習カリキュラムや学ぶ環境も昨今では大きく変わってきています。

タブレットを使って調べ学習をしたり、友達と協働学習したり、学習発表会や自由研究などのプレゼンテーション用の資料を作成したりなど、ICT(情報通信技術)を活用した学びは、教科書や図書室など紙の情報以外にも多くの情報から取捨選択する力や、相手に考えを伝えるコミュニケーション能力やデザイン力、表現力を養うことにもつながってくると思います。

iPadなどのタブレット端末を活用した一斉授業では先生が作成した資料を、生徒の画面に一斉表示させたり逆に生徒たちが回答した画面を先生がプロジェクターを使って投影したり、アンケート結果をグラフ表示することもでき、より深い学びができるメリットがあると思います。

また、生徒一人ひとりの学習内容や理解度に合わせて練習問題を提示したり、苦手な学習単元を学び直しするための解説、映像授業や英語のヒアリングなど、今までの紙教材では限界があった新しい学び方がいろいろとあり、ソフトウェアも今後充実してくると考えられます。

病気の子どもたちの学ぶ環境も保障できる?

学校の教室に無線LANなどインターネットにつながる環境が整備され、テレビ電話をつなぐために必要となるカメラとマイクが配置できれば、病気を抱える子どもたちが入院治療中でも病院と学校をつないで授業に参加することも可能になります。

また、教科書や提出物などもデジタル化されて生徒のタブレットから閲覧・提出できるようになれば、入院中はもちろん復学中の子どもたちも学校の授業の進捗を確認でき、地元の学校の友達と一緒に勉強することも夢ではありません。

入院中の場合は学校側の環境整備だけでなく、もちろん病院側の環境整備も必要にはなりますが、医療関係者や教育委員会、様々な支援者と協力しながら個別ケースごとに協議をして子どもたちの学ぶ権利を保障することができると考えています。

何よりも地元の友達と同じように勉強したいと願っている子どもたちにとってタブレット端末を使って勉強したり、友達と会話したりできることは笑顔になり、療養にも前向きに取り組むきっかけになると思います。

安心して学べるハードとソフトの両輪を整える

ハード面や技術的にはテレビ会議システムやICT機器(パソコンやタブレット・スマホ)を使って様々なことができるようになってきました。

しかし、それらのICT機器を活用して授業や学習支援ができる人材の不足、どのようなソフトや運用方法で使うかといったノウハウやマニュアルの整備がなかなか進んでいない状況です。また、入院している病院や所属している学校も様々で個別性が高いため、連絡調整を行うコーディネーターも必要不可欠です。

ポケットサポートではベネッセこども基金様の助成事業として、双方向WEB学習支援事業を通じて少ない事例ではありますが、これまでに学校行事の中継や自宅と学習支援者をつなぐ取り組み、学校と病院をつなぐ取り組みを実現することができました。

今後、学校現場のICT化が加速することで学校と病院、学校と自宅をつなぐ取り組みが増えてくることに期待したいと思います。

まとめ

今回は本日のニュースの話題からICTを活用した病気を抱える子どもたちの学習支援・学習保障について書かせていただきました。

ポケットサポートでは自宅治療中や入院中の子どもたちが、いつでも学習支援ボランティアに宿題の質問ができたり、授業で聞けなかった単元の学び直しができる仕組みづくりを2020年度の新規事業として助成金申請していく予定です。

パソコンやタブレット・スマートフォンなどの端末が病気を抱える子どもたちにとって、どこでもいつでも安心して学べる情報ツールとなるよう取り組んでいきたいと思います。

「学校のICT化が加速すると入院中の子どもの学習環境も変わる?」というテーマで皆さんのご意見や、今回の記事をご覧いただいた感想をお聞かせください。

お役立ち情報を無料でお送りするメールマガジン

病気やけがを理由に長期欠席している子どもたちは全国に約4.6万人います。そんな子どもたちとご家族に支援を届けるために、あなたも応援団としてご協力をお願いします。
まずは、簡単に登録できるメールマガジンを通じて活動の様子や子どもたちからの喜びの声を聴いてみませんか。

コラム
SNSでシェアする

応援コメントをお待ちしています

  1. くにこ より:

    肢体不自由の支援学校高等部3年生の娘がいます。
    今、まさに入院中です。
    ICT活用は病気療養中の子どもの学習環境を作る上で欠かせないと思います。
    娘は入院して手術をし、落ち着いた時点からスマホやタブレットを使い、先生から送られてくる課題に取り組んでいます。
    座る事が出来ないので、横になったままでも資料を読んだり、調べたり、書き込みをしたりといった全ての作業がスマホやタブレットなら可能です。教科書も入れられますし。ここまでの事ならどんな病院に入院してもできると思います。
    遠隔授業などライブでのやり取りとなると病院側の環境で今は難しいところがほとんどなのかなと思いますが。
    病気をしても学ぶ権利を失わずにいられたら、どれだけ生きる意欲に繋がるでしょう。
    理解が進み環境が整備されることを願っています。